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- 作者: 米原万里
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1997/12/24
- メディア: 文庫
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あるとき,わが師匠の徳永晴美氏が,「他人の通訳を聞いて,『コイツ,なんて下手なんだ』と思ったら,きっとその通訳者のレベルは,君と同じぐらいだろう。『ああ,この程度の通訳なら,私だって出来る』という感触を持ったなら,その人は,君より遥かにうまいはずだからね」
と述べたのは,別に「自分に厳しく,他人にやさしく」という人の道を説いたわけではない。他人の通訳を聞くときは,消極的知識を動員すれば事足りるのに,自分でプレゼンテーションするときは,積極的知識で当たらねばならず,消極的知識は積極的知識を常に量的に凌駕するものである以上,客観的に当然の心理なのである。p.120
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どの国の言語であれ,話し言葉ではこの冗語性,すなわち余計な言葉の含有率が,六〇〜七〇%という数字がある。時と場合によっては,九〇%,あるいは一〇〇%冗語ということもあり得る。p.123